知らないと怖~い!皮膚科医が教える『紫外線の功罪』とは!?

2016.07.14 Thu

UV

梅雨もようやく明けて、夏本番到来の7月。太陽が燦々と輝く空は、ただそれだけで気分を明るくしてくれるが、この時期とりわけ注意しなければならないのは、紫外線だ。否応なしに照りつけるこの電磁波。避けた方がいいことはよく知られているが、なぜ避けるべきか、避けなければ一体どんな病気を引き起こすのだろうか。今回は、紫外線の功罪と題して、名古屋市立大学 大学院研究科 加齢・環境皮膚科部長 森田明理(あきみち)教授にお話を伺ってきた。

紫外線が引き起こす病気とは!?

紫外線が引き起こす病気にはどんなものがありますか?

皮膚であれば、当然「皮膚がん」が第一番目になります。基底細胞がん(きていさいぼうがん)、有棘細胞がん(ゆうきょくさいぼうがん)、メラノーマ、これら3つが日光に関係した皮膚がんであると考えられています。

基底細胞がんについて教えてください。

表皮の最下層である基底層や毛包などを構成する細胞が悪性化したもので、医学的には丘疹(きゅうしん)や血栓と呼ばれる、顔面によくできる類いのがんです。黒い小さなしこりのように見えるので、小さいうちはほくろや高齢化に伴ってできるいぼと間違われたりしますが、似て非なるものです。

放っておくと、少しずつ大きくなっていきますが、急に大きくなることはなく、極稀なケースを除いては転移もしませんので、大慌てで心配する必要はありません。とはいえ、やはりがんです。小さいうちに治療しておいた方がいいでしょう。

皮膚科でダーモスコピー検査を受ければすぐに分かります。皮膚面にダーモスコ-プという特殊な拡大鏡を当て、皮膚に分布する毛細血管やメラニン色素の状態を調べる検査です。部位や患部の状態によっては、大きな病院にかかる必要が出てくるかもしれませんが、皮膚の病気も胃がんや大腸がんなどと同じです。ほんの数分診てもらうだけで早期に治せるなら、その方がずっといいですよね。

有棘細胞がんについて教えてください。

日光角化症(にっこうかくかしょう)と言って、その名の通り、日光(紫外線)が原因で起きる病気があります。顔面や頭部、腕などに数ミリから1センチくらいの平らな赤い斑点ができ、その表面に鱗のようなカサついたかさぶたが現れたり、褐色の斑点がまだらに色素沈着したり、イボのように大きく隆起した皮疹が生じるなど、症状はいくつかありますが、最も多いのは赤くかさついた病変です。

湿疹なら塗り薬を塗布すればすぐに治りますが、残念ながら、日光角化症の場合、いつまで経っても赤みが消えない状態でそのまま何年も放っておくと、それが元となり、有棘細胞がんに発展してしまうことがあります。不整形の腫瘤(しゅりゅう)が徐々に成長するにつれ、盛り上がって硬くなり、やがて癌の部分が開口部のある潰瘍となり、特有の悪臭を放ちます。

これも、顔にできやすいがんの一種なのでしょうか?

顔ならどの部位にでも出来ると思います。有棘細胞がんのみならず、皮膚がんは総じて、光が当たりやすいところに出来やすいものです。普段から光に当たる時間が長い人に発症しやすいとも言えますが、時々であっても、光に当たると赤く日焼けするタイプの人も、皮膚がんになりやすい傾向にあります。

ごく早期なら、免疫を活性化する外用薬で治したり、液体窒素冷凍凝固療法を行うこともありますが、それらで対応できない場合は手術となります。今後は新しい治療法が出てくるかもしれません。

メラローマについて教えてください。

メラローマはほくろのがんとして知られていますが、誤解があってはいけないのは、ほくろががん化するのではなく、ほくろの細胞=皮膚のメラニン色素を作る色素細胞(メラノサイト)ががん化した腫瘍になるのであって、厳密にはほくろとは関係ないものです。

悪性黒色腫と呼ばれていて、黒く小さなものから、場合によっては平たく大きく広がることもありますし、患部の中心が潰瘍化することもあります。見た目には同じ黒いものですが、前述の基底細胞がんとは違って、簡単に転移もしますし、命に関わるタイプのがんですので、どんなに小さくても、異変を感じたらすぐにでも皮膚科にかかることをお勧めします。

皮膚がんを防ぐためにできることは何ですか?

皆さんもよくご存知のように、日焼け止めを塗る、帽子を被る、日傘を差すなど、日光を避けることが大切です。あとは、赤くならないような日焼けをすること。赤くなると皮膚がんになりやすいからです。

日焼け止めについては、塗る量が大事ですね。よく言われる“FTU(フィンガーチップユニット)を、ぜひ目安にされるといいと思います。軟膏やクリームなどチューブの場合は、大人の人差し指の指先から第一関節に乗る約0.5g相当量、ローションの場合は、1円玉大の量を“1FTU(ワンフィンガーチップユニット)とし、大人の手のひら2つほどの面積に塗布できるという考え方です。

あともうひとつ、紫外線が引き起こす状態には、シミやシワなどの光老化があります。紫外線に当たるとシワやシミができやすくなるということは知られていますが、果たして、本当に日焼け止めでちゃんと抑えられるかどうかについては、中々認知されていないとお見受けしています。

本当に抑えられるのでしょうか?

シワやシミの原因のほとんどが紫外線なので、日焼け止めをしっかり塗ることで、できにくくなるのは本当です。

良い紫外線を使う光線治療とは!?

紫外線を活用した光線治療について教えていただけますか?

光線治療は「ナローバンドUVB」といって、太陽の光の中で見つかった良い波長を使った治療法です。大体310nm(ナノメーター)の中波長紫外線の領域に含まれる非常に幅の狭い紫外線が、尋常性乾癬や尋常性白斑、長引く重度のアトピー性皮膚炎などをはじめ、その他の難治性の皮膚疾患に効果を発揮することが分かっています。

海外ではすでに広く普及している紫外線治療の一種で、日本ではその専用機器を2002年に初めて発売し、2008年に次の機器を出しました。現在、全国に約20003000台あるそれらのほとんどを当大学にて自身が開発に応らせていただきました。

治療はどのように行うのですか?

専用の機器を使って、患部にナローバンドUVBを照射するだけですので、1回あたりの治療は数分程度で完了します。症状が広範囲にわたる場合はそれに応じて、照射時間も若干長くなります。

ナローバンドUVBも紫外線ですので、過度に当てすぎると問題が生じかねませんが、照射回数や照射量を調整しつつ的確に行えば、ほとんど副作用はなく、高い効果が得られます。

デメリットを挙げるとしたら何になりますか?

病院やクリニックでしか受けられない治療であり、ある一定の期間中、少なくとも週1回くらいは通う必要があるので、その点は手間になるでしょうね。病気の種類や状態によってもさまざまですが、例えば、乾癬なら、510回は当ててみないと効果は分かりませんし、できるなら2030回当てた方が症状はより改善されます。

紫外線と言うと、イコール悪いものというイメージがありますが、ナローバンドUVBのように良い光が存在していることも事実。やはり私たち人間は、太陽の光に恩恵があるのです。先の通り、機器は普及していますので、現在は日本中どこでも、同じ光線治療が受けられると思います。

(Text:岸 由利子)

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森田明理氏(もりた あきみち)
名古屋市大学 大学院医学研究科 加齢・環境皮膚科部長/医学博士
皮膚科学における皮膚免疫、紫外線免疫をはじめ、新しい光線治療や新規アレルギー薬剤の開発、皮膚廊下の機序・防御などを主な研究テーマとする。1999年名古屋市立大学医学研究奨励賞(国内)受賞。名古屋市立大学蝶ヶ岳ボランティア診療、あいち乾癬友の会事務局など、社会貢献活動にも力を注いでいる。20038月より現職。