マイナー外来シリーズ vol.03

何をやってもダメなら慢性便秘の駆け込み寺「便秘外来」へ

2016.06.13 Mon

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便秘は、日本人の多くが悩まされている国民病ともいうべき病気。その数は数百万人だという。「毎日発酵食品を摂って野菜多め生活して、運動も続けているのに全然でない!」など、お通じのために万策尽くしたが何も効果がないと諦めモードの人は多いはずだ。

そんながんこな慢性便秘に悩む人たちを救う「便秘外来」が話題だ。

20年来の便秘が解消された」とか「やっとお腹がスッキリした」などの声をメディアでも見かけるようになった。従来は便秘というと、胃腸内科や消化器科、肛門科などを受診するのが普通だった。それが近年では、便秘が大腸がんなどの病気につながると深刻さが認められ、便秘を専門的に診る便秘外来が少しずつ広がり始めている。便秘だけに特化した外来では、便秘を多角的に診断してくれる。原因や治療方法もさまざまなので、相談して一気に解消させたいものだ。

東京・世田谷にあるまつむら胃腸科は、昨年新たに便秘外来を開設したばかり。

飲むだけの大腸内視鏡検査「大腸カプセル内視鏡」を都内のクリニックで初めて導入した病院だ。数多くの患者の大腸を診て来た胃腸専門医だからこそ語る、知られざる便秘の第4の原因と便秘外来の診療内容について話を聞いてみた。

ー 便秘外来を開設されたきっかけは?

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当院では201312月より大腸カプセル内視鏡を都内で初めて導入しました。小さなカプセルを飲み込むだけで、胃、小腸、大腸までの画像を読み込んで最後は下から出てくるカプセルなのですが、なぜかそのカプセルが大腸の中で停まってしまう患者さんがいるんです。日本カプセル内視鏡学会での全国の施設の発表でも、カプセルが停滞して大腸全部の観察が出来ないケースが報告されていました。

そこで、カプセルが滞るのはなぜか?カプセルを上手に下から出すにはどうしたらいいのか?を考えるようになりました。物理学者の同級生にも相談してみて色々試行錯誤しました。そのうちに、カプセルをスムーズに下に進めることができれば、便もスムーズに腸内を移動できて便秘を解消することができるのではないかと考えました。そこから、便を出すための研究を始めたんです。

便秘で困っている患者さんの話を聞くと、すでに食事も運動療法もしているのに全くダメ何か別の原因があるのではないか?と原因を探っていたところ、国立病院機構(NHO)久里医療センターの水上健博士の研究を知りました。研究によると、日本人の大腸の形は教科書に描かれているような標準型は2割、残りの8割は大腸の一部がねじれていたり(ねじれ腸)、大腸が骨盤まで落ち込んでいたりする(落下腸)とのこと。このような形状では便が停滞して便秘になりますよね。食事や運動など生活サイクルに関係なく慢性便秘の人は、腸の形状に原因があるのではないか?と思い始めていたところだったので合点が行きました。

便秘には大まかにわけて3タイプあります。弛緩性便秘、直腸性便秘、ストレス性便秘の3つです。が、さらに4つ目として考えられているのが腸の形状、ねじれ腸・落下腸が原因となる便秘なんです。

ー 「ねじれ腸」や「落下腸」?!

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腸の形態異常が便秘の原因になっている場合があるんですね。

子どものころから便秘の人は、だいたいが腸の形による便秘だと思います。ほかにも独特の症状があります。ねじれ腸の人には腸ゆらしマッサージや上体ひねり体操をします。落下腸の場合、腸のカーブがS字急カーブを描いているので便が通る事が難しいので腸を持ち上げるマッサージを施します。

大腸の形態によってあらゆることを駆使しても治りにくかった慢性便秘が腸をゆらしたり、押し上げたりすることで解消することが多いんです。

ー 便秘外来の診療の流れを教えてください。

まず問診で便秘発生時期と経過、排便回数や残便感など聞きます。慢性なのか、腸の中に通過障害を起こすようなものがないか、潜血がないか、悪性疾患がないかをファイバースコープなどで調べます。さらに腹部超音波や触診で、便がどの辺に潜んでいるのかを探り、腸の下の方まで来ないと便意がこないので直腸触診も行ないます。

さまざまな原因を探り、その上で治療方法を探っていきます。

出来るだけ刺激するような下剤は使いません。腸のぜんどう運動を促すお薬や水分保持の下剤、整腸剤などを中心に処方して腸内環境をよくするよくにしています。

マッサージでも解消するし、排便の姿勢も大切です。洋式便座は排便には最適とはいえません。踏み台を足元に置いたり、上体をねじりながらや、座って前傾姿勢をとり、片方の手で反対側の足首をとって腸にねじりを加えて腸を刺激するなど排便姿勢のアドバイスも行なっています。

ー どのくらい通院すれば治りますか?

数回で改善が見られるケースもあれば、高齢の方で慢性化していると時間がかかる方もいます。先日は高校生の患者さんがお母さんとともに診察に来られました。長年悩んでいたのに2回の通院で良くなって来たと泣いて喜んでいる方も。第3か第4の方法もあるので通院すれば、細かくお教えしますよ。

単に排便回数を増やしたり、便をやわらかくするだけではなく、「すっきり感」を伴う自然排泄を得るのが便秘治療の最終目標です。

ー 便秘外来を通して伝えたいメッセージはありますか?

40才以上で便秘で家族に大腸がんの方がいれば、大腸がんのリクスは高まりますから一回はポリープなどを調べるのが大事です。下からのファイバースコープに抵抗のある患者さんは多いので、簡単に検査可能なカプセル内視鏡の検査がもっと安くなればいいなと思っています。内視鏡カプセルは今高価で、保険適用できる人が限られています。大腸検査が手軽にできるように、もっと多くの方が検査が抵抗なくできるようにと願っています。

(Text:小泉 恵里)
(Photo:壬生 マリコ)


松村健三(まつむら・けんぞう)
福島県立医科大学卒業 専門:消化器一般
国立東京第一病院(現 国立国際医療センター)外科、東京厚生年金病院外科を経て東京大学第一外科で膵臓微小循環の研究に従事。1992年世田谷に胃腸科クリニックを開業し、大腸カプセル内視鏡や経鼻内視鏡のプロフェッショナルとして患者さんが苦しまない医療を目指している。

まつむら胃腸科
便秘外来
東京都世田谷区経堂1-7-9 小澤第2ビル1
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