菌汚染が目に見える!?シルクインクで魔法の手袋

2016.06.14 Tue

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お化け、ウイルス、菌、人間は目に見えない物は怖い。ミクロの世界を生きる菌たちはもちろん顕微鏡をのぞけば見えるが、肉眼では感染したかどうかが分からない。症状が出てはじめて感染に気がつくのだ。ところが、感染した時点で感染を視覚化してくれるアイテムが開発されようとしている。

汚染を文字で教えてくれる手術用手袋

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Tufs Now

アメリカにあるタフツ大学は、手術用手袋にシルクインクでポリジアセチレンを印刷、細菌の感染を知らせる手袋を考案したそうだ。シルクインクに含まれる絹たんぱく質で酵素や成長因子を安定させ、インクジェットプリンタで化合物を印刷するというのが主な方法だ。これまで何度も試されてきたが、成功しなかったのは、検知してくれる物質の特徴が、インクジェットプリンタで印刷する時に発せられる熱で変化してしまうためだった。

そこで、熱から守る方法としてシルクインクを使ってみると、絹たんぱく質がまるで繭のような働きをし、熱を浴びても特性が壊れないことが分かった。実験でできた手術用手袋は「汚染された」という文字が青色で印字されている。大腸菌がつくとこの印字が赤色へと変化する。まさに、感染の「見える化」の実現だ。この技術が確立できれば、医療現場でさまざまな可能性が広がりそうだ。

機能性絆創膏!?貼るだけで治療もできる

日頃からよくお世話になる絆創膏もこの技術が確立されれば、単に傷口を守るだけではなく治療効果が期待できるものとなるようだ。シルクインクに抗生物質を加え、絆創膏の布部分に印刷すれば貼るだけで治癒が期待できるのではないかという発想だ。同大学の研究は、細菌を培養している物にナトリウム・アンピシリンを印刷、抗生物質の有効性を検査するところまできている。いくつもの機能を兼ね備えた医療用のマルチカートリッジだって夢ではない。文字を印刷するだけだと思っていたプリンタが、まさか医療器具として注目されるなどとは思いもよらなかったが、アイディアの変換で技術は進歩していく。テクノロジーは私たち人間の生活を大きく変える力を持っている。未来の常識を今の研究が作り出しているのだ。

(text:宮本 さおり)