編集部・チーム潔癖症と菌専門家の「仁義なき戦い」 vol.1

菌は悪なのか正義なのか![前半戦]

2016.06.01 Wed

wellib6

「いやいや、私は普通だよ」、潔癖の人に限ってこんな言葉を発してくれるが、ノーマルな人からすれば、まぎれもなくそれは「潔癖」。潔癖症の人たちは日々、菌との戦いを繰り広げている。今回は自称「ノーマル」な潔癖症の編集部メンバーを集結、彼らの菌に対する対策と知見は〇なのか×なのか。菌研究のプロ、衛生微生物研究センター  李 憲俊(り のりとし)所長に鋭くジャッジしてもらった。

潔癖具合は十人十色

A:私は水回りのことが気になるタイプ。プールとか温泉とかホントにムリ。温泉に行くと足拭きマットが置いてあるでしょ、まずあれを避けて浴室に入るの。入ると今度はヌメヌメしたお湯が出現するけど、あれもどうしてもいやです。足の裏に感じるあの感触が好きにはなれない。温泉成分だってことも分かるんだけど、そうと知っていても菌がいそうでいやですね。だから、温泉には行きません。

B:それ、すごく分かります。マットの湿った感じとか、確かになんかいそうですよね。普段の生活でも私はタオルを毎日洗う派なんですが、世の中には使ったバスタオルを洗わずに乾かして再利用する人いますよね、あれはどうしても理解できない。

C:タオルやバスマットももちろん気になるけど、自分が一番気になるのは唾液まわりですね。焼肉とか鍋とかした時、自分の箸で取っちゃう人いますよね、あれがどうしても許せない。箸置きとかも気になります。だって、人が口の中に入れた側を箸置きに置くじゃないですか。でも、想像するに飲食店で箸置き洗ってる所ってそんなにないと思うんですよね。知らない人の唾液がいっぱいついてるかもしれない。いやですね~あれ。

B:あと、電車のつり革とか手すりも気になる。色んな人が触っているわけでしょ。どんな菌が潜んでいるか分からないですよね。だから、万が一、手すりにつかまらないといけない時は、人が持たないであろうものすごく下の方を持つようにしているの。

C:でもそれ、気になる人は結構そうしてるパターンが多いですから、その部分が潔癖の人が持つゾーンになってる可能性もありますよね。どんだけ気を付けても結局だれかの触った所を触ってることになる。

B:そうかもしれない!皆が使う物と言えば、トイレも外で入るのは避けたいところ。誰が座った便座か分からないから、洋式しかない時は、便座におしりが付かないようにちょっと浮かして入ります。

A:でもBさんはお風呂は入らなくても平気な人ですよね。そこが変わってる。

B:そうなんですよね。私、お風呂は意外と入らなくても平気なの。仕事で徹夜とかになって、シャワーも風呂も入れなかったとしても全然平気。人それぞれ気になるポイントは違いますよね。

A:いずれにせよ、みんなが共通して気になるのは人の菌が自分に付くのが嫌ってことだよね。菌が付くと病気になりそうだし、とにかく汚い気がする。

菌がは間違っている

we2

李:みなさん散々菌を嫌う発言を言われていますが、この部屋の中で一番菌が多いのはどこか分かりますか?

A:エアコン?

B:ソファーとか?

李:ぜんぜん違います。あなたたちの体ですよ。人間の体には便座やバスマット、箸置きなんかとは比べ物にならないほど沢山の菌が住んでいます。例えば、便座にはほとんど菌はいません。菌は湿り気のある所を好みます。便座を想像してみてください。便座は湿っていませんね。水気のないところでは、菌はついても生存することができないのです。もしも便座に水気がついたとしても、ふき取ってしまえばもう菌は生きられません。便器の中には水がありますから、菌がいますが、便座自体で菌が生息することは難しいのです。キレイですよ便座は。

温泉だって汚くない。温泉に入れないなんてAさん、あなたもったいないですよ。温泉には成分によっては抗菌作用のある温泉があります。酸性の強い温泉、これは抗菌作用が認められています。入った方がきれいになれるんです。

A:でも先生、いろんな人が入る温泉だと、他の人の体から出る菌が温泉の中に漂っている可能性もあるでしょ、他人の菌が自分に付く気がするのですが

李:人がぎゅうぎゅう詰めに入っている温泉でない限り、そんなことは心配する必要はありません。温泉の湯量の方がはるかに多いので湯船に停滞することなく流れ出ます。入浴して体に菌が付き病気になるなんてことは本当に稀なケース。お風呂で菌が増えるのは、入浴した湯船のお湯をそのまま入れ替えずにほっておいた場合のことで、常にお湯の入れ替わりのある温泉では、菌がついて病気になるなんてことはほぼ考えられないです。

人間は勝てるのか
水虫菌付きバスマット

we1

A:バスマットはどうですか?

李:菌はいると思います。水虫のある人が使ったバスマットを共有すれば、水虫がうつる可能性はあります。ただ、水虫の人が使ったバスマットを使ったからと言って、全ての人が水虫になるわけではないのです。皮膚にすこし傷があるとか、体調がよくないとか、人間の体の側にこうしたほころびがある時に、菌によって病気や症状が引き起こされる。健康であれば、たとえ菌が体についても、水虫がうつることはないです。菌がある=病気になるではない。菌を削除するのではなく、大切なのは病気をおこさない菌を強くすることです。世の中の人が勘違いしているのはこの辺のことです。

B:でも、バスマットには菌はいるんですよね。それはやっぱりいやだな。

李:いますけど、菌は付いたらそのままずっと生きているわけではありませんよ。風呂の湯と一緒で、そのまま放置すれば菌が増えますが、温泉などのバスマットはこまめに換えられているでしょ、一晩おかれたバスマットなんてないはずです。だからそれほど気にすることはありません。菌だって人間に悪さしようと生きているわけではないんですよ。菌はそんなことなんにも考えていない。菌の気持ちを考えてみて欲しいよもう少し。

潔癖症部員と愛菌家の討論バトルはまだまだつづく。後半戦も乞うご期待。

後半戦はこちら

(text:宮本さおり)