「DMAT」って知っていますか? 覚えておきたい、災害時医療の予備知識

2016.05.31 Tue

wellib7

大きな震災が相次ぎ、減災について、予備知識をひとつひとつ確かめていきたいと思うこの頃。ところで、震災時の医療はどのような仕組みで行われているのか、皆さんはご存知であろうか。

震災時の医療は、医療の確保に必要な事業として災害対策基本法に定められている。その法に記される防災基本計画に基づき、国や地域、医療機関が一体となって様々な取り組みがなされているのである。その災害医療の中心を担うのが「災害拠点病院」と「災害派遣医療チーム(DMAT)」だ。

「災害拠点病院」とは?

災害発生時、医療拠点となる施設を「災害拠点病院」という。ここが主幹となり、災害地域の救急医療体制の整備に努めるのだ。「災害拠点病院」は、各都道府県に基幹病院が1箇所以上、地域拠点病院が全国で633箇所、全694箇所設置(平成27年4月1日現在)されており、重篤患者の救命医療、搬送対応、地域医療機関への資機材の貸し出し、DMATの派遣等を行っている。そのためには、普段より、災害時の救命医療に必要な施設・設備・医療従事者を有していなくてはならない。施設としては、もちろん耐震構造であり、地域の医療施設を支援するため、水・医薬品・医療機器の備蓄機能が強化され、応急用資機材の貸し出し等ができるように日々点検や整備がなされている。また、人材においても、研修・訓練等による人材育成や対応マニュアルの見直し等がされているとのことだ。

「DMAT(ディーマット)」とは?

「災害派遣医療チーム (DMAT)」とは、大地震及び航空機・列車事故といった災害時に、被災地へ迅速に駆けつけ、救急医療を行う為の専門的な訓練を受けたチームである。多くのいのちを助けるため、災害急性期 (概ね48時間以内) に活動できる機動性と、災害医療という専門性を併せ持っている。専門的な研修・訓練を受けた、医師、看護師、業務調整員で構成され、その活動は、現場活動から病院支援、搬送等と多岐に渡っている。DMATの派遣に至るには、災害時、国や地方公共団体、医療機関より把握された医療状況から、所管都道府県にて派遣要請がされる。派遣されたDMATは、災害拠点病院をDMAT現地本部とし、医療活動を行うという仕組みとなっている。

DMATが発足したのは平成17年。先に起こった阪神・淡路大震災において、初期医療体制の遅れによりいのちを失くすという、“避けられた災害死” があったことを教訓とし発足された。後の報告から、“避けられた災害死” は500名も存在した可能性があったとのこと。浮き彫りとなった多くの課題から、医師が災害現場の最前線で医療を行う必要があることの認識が強まったのだ。

東日本大震災では、岩手、宮城、福島、茨城の4県で、3月11日から22日の12日間で、全国から約380チーム、約1800名が出動し、300名以上の患者救出に従事したとのことだ。被災地域内の病院での診療支援と情報の発信、トリアージ、治療、ドクターヘリや救急車、自衛隊機による被災地域外への患者搬送、津波で孤立した病院の入院患者の救出活動等で、いのちを救うことができたのは、いつ起こるか分からない災害に備え行われている、教育研修や訓練があってのことである。

震災後は、行政やこのような組織で検討会がなされ、各施設や体制の強化が図られている。もちろん、ひとつのいのちに変えられるものは何もないのだが、決して勝つことはできない自然の脅威の中で私たち人間が生きるには、人の持つ “学ぶ能力” を生かしていく他はないように思う。

(Text:清野 琴絵)